長く続いた緊急事態宣言も、ようやく全国的に解除され、私の住む北海道も取りあえず自粛の要請は解除されました。ただ、まだまだ予断を許さない状況であるのは確かで、解除後、潜伏期間を経た頃に感染者が増えて、また自粛になることがないように、ただただ祈るだけです。
解除にあたっての各自治体の対応の中で私が目をひいたのは大阪の吉村知事の言葉で、「感染者ゼロは目指さない、コロナと共生する社会を目指す」というような言葉でした。
私がこのブログを立ち上げた頃、食品の衛生管理に関する私の考え方を紹介したものがあるのですが(2019年10月19日公開「自然に逆らわない衛生管理?」)、「除菌、除菌で細菌ゼロを目指すのではなく、細菌たちと共生する衛生管理を目指さないと、微生物達の逆襲にあう」といった内容の書き込みをしています。食品と感染症の違いこそあれ、話題にしているステージが違うだけで、そこにいる細菌やウイルスと言った微生物たちは同じ生き物で、だからこそコロナだって「共生」という考え方が大事なのだろうと考えます。
この間、WHOが「コロナウイルスはこの世の中からいなくならない」と言った内容の発表をしていましたが、私の頭の中には「?」が沢山飛び回りました。この世の中から撲滅できた感染症は天然痘(1980年にWHOが世界根絶宣言を発表して以降、世界的に感染の報告がない)くらいで、それだってこの先100年後に変異した天然痘ウイルスが現れて世界を恐怖に陥れるかも知れないのでは?と思います。今回のコロナ騒動で感じるのは、人は不確かでも誰か信頼のおける人が大丈夫といえば安心するし、逆に恐怖に陥れるようなことを言えば不安に駆られてしまう不安定な生き物なんだな、ということで、だからこそ、「撲滅」という勇ましい言葉を期待し、でもそれが叶わなければ不安でしょうがなくなる、まさに今はそんなに世の中なんだと感じます。
新型コロナは、研究所から持ち出されたにせよ、自然発生したにせよ、我々と同じ地球上の生き物で、地球以外の星の未確認生物ではないのです。ただ、今まで人類の前に現れなかっただけで、そんな微生物たちはまだまだ沢山地球上に存在しているのです。だからこそ、どんな生き物とも共生する意識でいなければ、人類は地球上の生き物の一員でいられなくなるのでは、と思います。
自然災害も感染症も、人類への大きな警鐘なのだろうと思います。何でもコントロール出来る、というおこがましい奢りを捨て、もっと謙虚に色んな現象と向き合い、受け入れて生きていくことが大事なんだ、と示されているように感じます。
感染者をゼロにしようなんて思わないで下さい。インフルエンザだって、ノロウイルスだって、他の感染症は毎年感染者はゼロではないのです。だからこそ、共生するという意識を持ってコロナとも対峙しなければ、コロナ騒ぎはいつまでも続くと思います。