前回、ひとつの素材に偏ったマスクの推奨に対する違和感を書きました。そこで伝えたかったのは、大事なことはマスクの素材ではなく、必要な場面で、そこにいる人「全員」が「正しく」マスクを着用していれば、布でもウレタンでも感染予防につながるのではないか、と感じる、ということです。
それは、食品の衛生管理でもいえる場面があり、それが以前書いた手袋の着用です。手袋を履いていれば衛生的だという風潮が世間にあります。でも、開店時から閉店時まで同じ手袋を着用して作業をしていることが果たして衛生的なのでしょうか?大事なのは何故手袋を履いているのか、を理解していることであり、一日の作業の中でどのタイミングで手が汚れて、それに対してどのように対処しているか、ということが大事なのだと思います。
コロナ対策も食品の安全対策も同じで、大事なことは型ではなく、その行動の意義を理解することだと思います。ただ、型に捕らわれる風潮の中、そこに異を唱えることは勇気のいることです。ややもすると戦前の全体主義に流れていく危機感も感じます。目に見えない敵との戦いは不安を増長し、様々講じる対策に対しても、「これでも不安」、「これでも不安」が積み重なっていく傾向があり、その結果身動きの取れない社会や現場になりかねない危険性をはらんでいると感じます。
安全対策を行うのは現場です。専門家の頭の中でも論文の紙面の中でもテレビの画面の中でもありません。現場が動ける安全対策を常に心がけて、日々皆さまと関われればと、新型コロナウイルスの報道や情報から感じるこの頃です。