私は小樽の片田舎の漁師町に生まれました。父と兄は遠洋漁業の漁師で1年中家に居なく、母は水産加工場で働く家で育ちました。父と母の出逢いは、漁師の父が漁師のためのご飯の支度をする仕事していた母を見初めことだと聞いています。子供の頃から、料理好きで料理上手だった母のご飯を食べて育ったことや自分の育ちのルーツが、今の自分の仕事や生き方のバックボーンになっていることは間違いありません。
弊社の入社時の面接で大事にしていることは、「食べることが好きか」、「料理に興味があるか」という、検査や衛生管理の仕事をするうえで一見関係のなさそうなことです。「細菌や微生物の勉強をしてきたか」、「HACCPや食品衛生学を学んできか」も勿論大事な部分ですが、でもそれは入社してからでも学べること。でも、食べることが好きか、料理に興味があるかは、その人の生き方に関わる部分ですので、「好きになってください」「興味を持ってください」と強要できることではありません。
「衛生管理」とは、コンサルや検査をしている私たちの金儲けのためのものではありません。あくまでも料理や商品を作っている方たちの生活や、それを食べるお客様の命を守るためのものです。そしてそれは、その食品に潜んでいる細菌や微生物を素晴らしい検査技術で見つけることだけではなく、工場や厨房の不備を何項目にもわたる厳しいチェック項目で見つけるだけのことではないと考えます。それはあくまでも、美味しくて安全な食べ物を作るための工程(作り方)を、「安全」に結びつくように導くためのものだと考えます。
私たちが検査をする「検体」は、お客様にとっては「商品」であり、それを食べる方にとっては「美味しい食べ物」です。ですから、「食べることが好き」であることと「料理に興味があること」を大事にして、私は日々社員たちとお客様の衛生管理のお手伝いをしております。