HACCP関連記事2021年06月03日

業務のシステム化

 1日から制度化されたHACCPに沿った衛生管理。当初は東京オリンピックに照準を合わせての法整備であり、食中毒事例が一番多い飲食店に衛生管理の意識を高めさせることが大きな目標だったわけで、それゆえ、当初は「なんちゃってハサップ」などと揶揄された「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(当初はB基準と呼ばれてました)」が設定されたのでした。食品衛生法を改正してHACCPを義務にしよう、と国会で決議されるまではHACCPと言えば「コーデックスの7原則12手順に従わなければならないもの」、であり、「「HACCPの考え方」はHACCPではない」、くらいに捉える専門家と呼ばれる方たちも多かったように感じましたが、世に広く浸透させるためには「考え方」はとても大事で、「7原則12手順」という形に囚われていたことが四半世紀もの間、食品業界に根つかなかった最大の理由だと国が認識したことは、大きな進展だと私は感じました。

 そして先日、6月1日にいよいよHACCPが制度化されたわけです。そして、やはりこれを商売に・・・と考えるのが世のならいで、今回の制度化の柱である「衛生管理計画」に関しては、スマホで記録が残せる、スマホで衛生管理計画が作れる、といった類のコマーシャルとプレスリリースが目に付きます。スマホの活用は現代を物語っている手法で私も賛同しますが、結局は今回の制度化でシステム化ができるのは「記録」に関する部分なのだね、と実感させられるものばかりです。確かに「記録」が大事で、それが「見える化」だという認識は間違っていませんが、私が捉える「記録」の意義は、「今日のダメだった事」の振り返りであり、それは結局文章に残さなければならないことで、とどのつまりスマホで文書を書くか、紙の記録用紙に手書きで書くか、の差こそあれ、「文書を書く」という手間は同じなのにね、と思うわけです。日々問題なく「〇」の日ばかりであればシステム化は有効ですが、万が一「✖」の記録が出た時に対応できているシステムかどうか、が判断基準かと考えます。

 ただ、結局は「衛生管理計画」のルールを文書にすることが一番の手間であり、それは現場現場で異なってくるものなので、それを手軽に作成できるシステムがあるかどうか、がシステム導入の分かれ道かと思います。

 HACCPが初めて日本に紹介された時、それこそHACCPの考え方ではなく、その前提となる一般衛生管理の建物に一番着目されたことで、HACCP=金のかかるもの、という図式が根ついてしまい、それを払しょくするのに四半世紀もかかってしまった背景がある今回の制度化。制度化が始まって今度は、HACCP=記録、とう図式の下、その本質である結果の振り返りと改善措置の記録(コーデックスの7原則でいうところの「検証」と「改善措置」)が抜けては、「HACCPに考え方」から外れてしまい、それこそ「なんちゃってハサップ」で終わりやしないかと危惧した6月1日でした。

 

この記事を書いた人:小林樹夫

所属:代表取締役 担当:皆の社長(笑)

小樽の漁師町の生まれ
人生の前半を小樽、函館で過ごし、酸いも甘いも色々経験(笑)後半の人生は、死ぬまで札幌で修行の予定。
さていよいよ50代最後の1年、来年は折り返しの年です。頑固でありながらも、いつまでも柔軟な感性を失わない、しなやかな社長=親父=おやじを目指してます❗