10月を振り返ると、自分自身の忙しさにおいては会社起業以来の忙しさとなり、ブログはもとより、会社にいる時間もほとんどない状況で終わった感じで、でも気づけばもう11月も20日を過ぎて、今年も残るとことあとひと月ほどになってきました。6月に改正食品衛生法が完全施行され、HACCPの制度化、営業許可制度の改正、他、関連して食品衛生監視票の改正、など、食品事業者を取り巻く衛生管理の環境が大きく変化した年だったなと思います。それもこのコロナ禍という非常事態の中での動きですから、行政も食品事業者も混乱の中での変化でした。その中で振り返ると、HACCPに対するお客様の認識も変わってきて、特に製造業を中心に制度化を背景として、ならば第3者認証、という機運が高まってきている空気を感じます。ただ、飲食業界はやっとコロナによる自粛感がなくなってきたところですので、HACCPの制度化に対する動きはこれからかな~という感じです。行きつけの居酒屋などでも話題に上がり始め、おかげさまでお仕事をいただける話もちらほら出てきていますし、HACCPをネタに営業に来ている会社(初めて聞く名前の会社もありましたね)の話も聞くようになりました。飲食店向けの衛生管理計画を作成できるスマホのアプリも2年ほど前からあったのですが、それを保健所から斡旋された話も耳にしました・・・
10月の忙しさの一つに、さっぽろハサップの認証制度の審査会があり、その審査会に弊社のお客様が2件申し込みをしたことがありました。おかげさまで、ベーシックステージで認証されました。飲食店やサービス業の事業者の方々には、ぜひ他社との差別化としての第3者認証の一つとしてチャレンジすることをお勧めします。書類の作成や従業員への教育など、制度化への対応以上の取り組みが必要ではあり、実際今回認証された2社の担当者の方々は同じように「大変だった」との感想をおっしゃってましたが、それと同時に「当たり前のことを当たり前にやればいいんですね」との感想も聞けてます。少しでもご興味がありましたらご一報ください。
最後に、そのさっぽろハサップの審査会の審査員である、有限会社ミクロバイオテックの浅野行蔵先生が、月刊フードケミカルという雑誌の2021-9号に投稿された「「HACCPは使える!」と手応えを持って実施するために」という文章の中に、興味深い内容があたったので、原文のまま、一部抜粋して以下にご紹介致します。ホームページに掲載することを快く了承してくださった浅野先生には感謝致します。
「HACCP」と「衛生管理」の違い
HAACPと衛生管理の違いを、中華料理と刺身を例に考えてみる。中華料理では、すべての食材は油や湯で高温加熱する。食材に食中毒菌がいても殺してしてしまう高温となっている。すなわち、HACCPだけで安全を保つ仕組みで「衛生管理」には期待していない。・・・・・・一方、刺身は、安全を衛生管理のみに頼っている。加熱工程など菌をころすCCPは存在しない。・・・・・・中華料理と刺身は、衛生環境における両極だが、HACCPとPP(一般衛生管理*)の関係や、「PPの情況によって、HACCPの条件も変わってくる」という点は理解してもらえると思う。 *筆者注釈
厚労省の「衛生管理」とい用語の使い方
厚労省の「衛生管理」という言葉の使い方が、HACCPとPPの区別を不明瞭にして、多くの誤解を生んでいるように見受けられる。「衛生管理」という言葉のイメージは、サニテーションのイメージが強く・・・・・ところが、厚労省では「衛生管理」という用語を複数の広い意味で使用している。典型的なのが「衛生管理者」という国家資格である。・・・・・また、厚労省の発表する文章には「衛生管理」の言葉が頻繁にでてくるが、「食の安全」などの「安全を目指す」というフレーズは頻度が低い。・・・・・・一方、CodexやFDAの表現では「食品安全」を強調している。「食品安全が大切である」「食品安全に向かって進むための手法がHACCPである」という姿勢が明確に示されている。・・・・厚労省の「衛生管理」という用語は、「食品の安全管理」に変えることによって、随分と誤解は少なくなるだろ。
HACCPの記録は「ウンコ」である
「記録が重要」という人からはHACCPを教わってはならない。ヒトは正しい食生活をしておけば、自然と良いウンコが出る。ウンコを作るために食事をするのではない。HACCPの記録はこれと同じなのだ。記録という書類を作ることがHACCPではない。・・・・・・Codexの「食品安全の一般原則」(2020年改訂)を読むと、HACCPの原則7で推奨しているのは、手順1から一つひとつ実施した記述を残すことである。・・・・・・手順に沿って進めた記述をそのまま残せばよいのであり、無理して作る記録は皆無である。まさにHACCPの手順を一つひとつ進めれば、自然に出てくる良いウンコである。
以上、もしご興味を持たれた方は、月刊フードケミカルのバックナンバーをお探しになるか、ご連絡くださればコピーして差し上げます。