
弊社の仕事のひとつに、販売する商品の原材料表示の作成やそれに伴う商品規格書の作成のお手伝いがあります。仕事の流れからすると商品規格書が先にあり、それを元に原材料表示を作るのですが、その際に必要な情報というのが、原材料の配合比、すなわちレシピなのです。
私が製造に携わっていた40年ほど前から、商品カルテ、商品規格書はありました。当然、商品を作る際には設計図が必要なわけです。そして、とりもなおさずそれは各社が開発したものであり、その会社の財産であり、当然機密事項でなければならない部分なはずです。それが昨今、販売先や商品の取り扱い先の品質管理部門の方々が、適正な表示を作成するという名目で全ての機密事項を丸裸にしてしまいます。
大義名分は分かります。ただそこで大事になってくるのが信頼関係です。丸裸にされた情報に基づいて製造するのは開発したメーカーであり、丸裸にした情報で販売会社や取り扱い会社が自社で製造をするのはルール違反です。なので、私が製造に携わっていた頃の大正生まれの頑固社長は、カルテの配合比はウソを書けと私に指示してました。(笑、ホントにウソ書いてました笑笑)
昨日打合せをしたメーカーのお客さんから聞いた話です。流通大手の会社に商品規格書を提出して商品を販売していたら、いつの間にかそのレシピ通りの商品をその販売会社が作り始め、注文が減ったとのことです。本当にあった話です。でも実は昔からある話です。だから大正生まれの社長でさえもレシピは正確に開示したくなかったのです。大手と言われる会社ほどそんなルール違反をやってきています。
商売の基本は信頼関係です。自分だけの利益を考えて信頼関係を壊すような会社が増えると、安心した取引が出来なくなり、世の中に良い商品が並ばなくなってくると思います。小回りが利いて、思わぬヒット商品を作るポテンシャルを秘めた中小企業を大事に育てる商売の土壌が失われつつあるような気がします。さらに驚愕の話は、AIを使ってある食品の情報を分析するとほぼ同じ味を再現できるレシピが出てくるそうです。
固定概念に囚われてはいけませんが、AIに頼ってばかりでは、人の想像力、創造力が失われてしまわないか心配です。そして、人が想像力、創造力を失っ時、大事な信頼関係もないがしろにされていかないか心配になってきます。

