社長ブログ2019年12月20日

衛生管理計画と手引書 : 現場編

 先日伺ったお客さんでの業務から感じたことを徒然に・・・

 前回私見を述べた衛生管理計画ですが、先日それの作成の請負をした、地方で多店舗展開しているお客さんの現場に行って、現状の衛生管理の実情の聞き取り調査をして参りました。掃除の仕方、道具や器具の洗浄方法、その他一般衛生管理に関する聞き取りを行ったのですが、同じ会社でも店舗が違うとオペレーションが全く異なっていました。一般的には、会社が同じであれば多店舗に展開していても、本部が主導で管理を行い、各店同じオペレーションで運営されていると思いがちですし、本来そうであるとの先入観がありますが、働き手の減少、店舗展開している地域性の問題で、閉店時間が異なったり、シフトの組み方が異なることで、清掃を含む衛生管理のオペレーションが異なってくるようです。その現実を見ずに、衛生管理計画をガイドラインの雛形のままに作成しましょう、と言っても現場ではやはり何から行えば良いか・・・と頭を悩ますのではないかと思います。

 それは調理の中でも言えることで、食材の受入から提供までを一律の同じマニュアルで行うのは難しいのでは?と、思うのです。例えば食材の受入・・・出店している地域の差で、食材の納品業者の納品時間に制限が現れることがあります。原材料の受け入れ時、賞味期限や鮮度などの確認が求められますが、特に飲食店の場合、仕込み時間と開店時間、更にはスタッフのシフトの問題も絡めば、立ち会うことができないケースも出てくるかと思うのです。また、これは現実にあった給食施設での話ですが、前日調理を禁じた厚生労働省のガイドラインに従うと、朝食の食材の納品時間が朝の3時、4時になる・・・というのです。そこから言えることは、ガイドラインはあくまで行動目標であり、そこに書かれている内容はあくまでも「アウトライン」であり、そこに実際の運用や実効性といった命を吹き込み、現場で結果を残す計画にするためには、やはり現場の声を反映させた計画でなければならないと思います。

 それゆえ、作る作業は大変だろうなと感じます。何より、自分たちの普段の行動を文章で表現することは意外と難しく、普段当たり前にやっている行動を記録する、ということの「当たり前」という意識の「抵抗感」を超えるのが、意外と大変なのだな、と感じる意見をお客様との会話でよく耳にするからです。国から出されたガイドラインには、手順書作成のための様式があり、そこに自分たちの作業手順やルールを埋めていけば良い形になっております。合理的な進め方ではありますが、実際の作業の振り返りを行うことが一番大変で、現場の方たちが二の足を踏むのは、普段の「当たり前」を、特別なことのように扱わなければならないという意識の変化が、大きな要因ではないかな、と最近感じることが多くなっています。

 とりあえず雛形に手順とルールを埋めてさえいればいいだろう・・・それでも衛生管理計画は出来上がります。それでも、今回の法改正の中での「HACCPに沿った衛生管理の制度化」の目的は、形を作るだけにとどまらず、実際の衛生管理の運用も含めて「見える化」することであり、それは取りも直さず、結果の残るマニュアルや手順書をつくることであると考えます。

 私が考えるのは、ガイドラインをあくまでアウトラインとして捉え、それに柱をたててしっかりとした建物(計画)を立てることが、生きた衛生管理計画なのではないか、ということです。どうせ作るなら、その現場の命を吹き込んだ衛生管理計画を作ってみてはいかがでしょうか?そのお手伝いが、弊社の業務のひとつです。

https://www.ms-tec.biz/haccp/haccp-point

※飲食店以外のお客様も、お気軽にご相談ください。

 

 

この記事を書いた人:小林樹夫

所属:代表取締役 担当:皆の社長(笑)

小樽の漁師町の生まれ
人生の前半を小樽、函館で過ごし、酸いも甘いも色々経験(笑)後半の人生は、死ぬまで札幌で修行の予定。
さていよいよ50代最後の1年、来年は折り返しの年です。頑固でありながらも、いつまでも柔軟な感性を失わない、しなやかな社長=親父=おやじを目指してます❗