社長ブログ2020年04月13日

消毒・除菌について考える

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まりません。自分自身や家族、社員が感染するのではないかという不安と、会社の運営に関する不安と毎日戦っている感じです。陽気が良くなり気持ちがアップする4月なのに、なんとなく先行きが見えない中での足踏み状態のこの頃ですね。

 そんな中、ネットやテレビを見ていると様々な情報が行き交い、それが逆に、日本全体、いや世界全体が不安で覆い尽くされているという感じを醸し出していると感じます。有名な芸能人やアスリートも感染・・・絶対負けない僕らのヒーローが、目に見えないコロナという敵に負けた・・・なんていう敗北感に包まれていく感じがしてますが、所詮芸能人もアスリートも我々一般人と同じ人間です。コロナに感染するのは当たり前で、そういう意味では感染症を引き起こす病原菌君達は、差別や色眼鏡をかけない平等な生き物だといえますね(^^;)仕方がない事態ではありますが、この暗いオーラに負けないように、先ずは難局を乗り切っていきたいと思います。

 弊社は食品の衛生管理の仕事をしておりますので、当然消毒、除菌、殺菌という言葉を日常的に使っております。さて、言葉の定義を調べると

   消毒 : 病原菌を無毒化すること(必ずしも殺すわけではない) 

   除菌 : 病原菌の数を減らす(これも殺すわけではない) 

   殺菌 : 病原菌をある程度殺す(医薬品や医薬部外品で使える言葉)

となるわけで、食品製造の現場では結構頻繁に「殺菌」「殺菌」と言っては、商品を加熱したり、薬品で処理したりしていますが、本来の言葉の定義からすると、食品の製造現場で殺菌できる薬品は存在してはいけないわけで、食品製造の現場で殺菌できる方法は加熱や圧力といった物理的な力でしかありえないという解釈になります。

 さて、こんな仕事をしていながらお恥ずかしい話ですが、今回の新型コロナの消毒薬に台所洗剤が使える、という情報をテレビやネットで知りました。日常的に使っているもので、こんなに怖いコロナを消毒できる!と思えば、人々の不安も少しは解消される明るい話題ではありますが、もともとは2003年に国立感染症研究所の感染症情報センターがホームページに掲載した情報であるようです。改めてネットで検索すると、その当時はSARSウイルスの不活化(殺菌)に界面活性剤が有効であった、という報告であり、同じコロナウイルスである今回の新型コロナにも当然効果があるということで現在情報提示されているわけです。生物的にはエンベローブという脂質でできている外膜をもつウイルスに有効であるということで、台所洗剤の成分である界面活性剤がエンベローブの脂質に作用して膜を破棄するという原理からするとその通りなのだろうと思います。同じくコロナウイルスの消毒にメインで使われるアルコールも、エンベローブを持つウイルスに対して効果があるわけで、逆にエンベローブを持たないノロウイルス(新型コロナの陰に隠れて話題に上らないですね(^^;)飲食店の売り上げが激減してることにも関連していますね)にはアルコールは効果がなく、ノロウイルスにも効果があるのが次亜塩素酸ナトリウムということになります。この次亜塩素酸ナトリウムはエンベローブを持つウイルスにも効果があるのですから、実はウイルスを不活化する消毒薬は次亜塩素酸ナトリウムが万能で、家庭を見渡せば、ハイターやカビ取り剤という家庭用品の中にちゃんと配備されているわけです。そう考えれば、通常家庭にはないアルコールという消毒薬を求めて薬局を右往左往するよりは、スーパーやコンビニでも売っている台所洗剤と漂白剤を用意して置けば、コロナウイルス対策の消毒は出来るのでは?と思う次第です。

 ただ、学術的な警鐘というか、注意喚起している文章を見つけたので、最後に掲示しておきます。

「また、実際の現場において、ノロウイルスは有機物とともに存在する場合が多いため、試験管内の不活化効果は実際の現場での有効性とは必ずしも一致せず、現場に即した環境(有機物存在下)での有効性評価も必要とされている。(平成 20 年度 ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書 国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部より引用)」

 つまり、コロナウイルスも同じで、どの消毒薬に効果があるかは試験管内で調べている情報で、実際の現場、つまり生活環境下にいるウイルスや病原体は人の唾液や体液や糞便といった有機物とともに存在しているわけで、そこを考慮して利用していくことが大事かなと思います。

 やはり、基本的には石鹸での手洗いが何よりの予防だと思います。

この記事を書いた人:小林樹夫

所属:代表取締役 担当:皆の社長(笑)

小樽の漁師町の生まれ
人生の前半を小樽、函館で過ごし、酸いも甘いも色々経験(笑)後半の人生は、死ぬまで札幌で修行の予定。
さていよいよ50代最後の1年、来年は折り返しの年です。頑固でありながらも、いつまでも柔軟な感性を失わない、しなやかな社長=親父=おやじを目指してます❗