HACCP関連記事2020年11月01日

衛生管理と衛生管理計画 :その8・・・一般衛生管理:生き物を食べ物にする処理方法

 

 前回は、生き物が食べ物になる事を踏まえると食材のリスクが見えてくる、という話をしました。
では今回は、そこから具体的に食べ物に処理する時の注意点を書いてみたいと思います。

今回は野菜編

 ひとえに野菜と言っても、葉物、根菜類、蔓になる物、など様々で、その成り方によって処理の仕方も変わってきます。畑の土の上になる葉物、中になる根菜類は畑の土の影響をダイレクトに受けますので、基本的には広い意味での土壌菌が土と一緒に野菜に付いてきます。ですから原則綺麗に土を洗い流せれば細菌数は限りなく0に近づき、変な薬品で「除菌」「除菌」と騒がなくても良いレベルにまで「除菌」出来ます。

 ただし、根菜類は皮を剥く前に洗うこと、葉物は根を落とす前に根本の土をよく洗い流す事。その手順を変えて、皮を剥く、根を落とす、を先に行い、そのあとにいくらよく洗ってももう後の祭り。刃物で切られて傷だらけになった細胞組織に入り込んだ土は洗っても洗っても流れていかず、この時点で薬品で除菌しようとしても、それさえも上手くいきません。仮に除菌出来ても野菜の旨味はどこへやら(*_*)


 次に蔓になる野菜。生食の代表格は胡瓜やトマトですね。本来土の影響は少ない野菜ですが、胡瓜は植物が表皮からの水分の蒸発を抑えるために作り出しているクチクラ層が実の全体を覆い、それが水をはじく作用をしているため薬品に浸けても除菌が難しい野菜です。ですから、これも土を洗い流すように洗えれば基本的には除菌は出来ますし、ブルームと呼ばれるイボを落とすだけでも除菌が出来ます。

 野菜も我々と同じ生き物で、血を流さないからイメージしづらいですが、包丁で皮を剥く、切り刻む、という処理は、傷つけられるのと同じことです。ですから傷のついた野菜はそこから細菌が入り込みますし、放っておくと腐ってきます。ですから、特に生食の野菜については傷のない野菜を使い、傷つける前によく洗って土を流す、というのが処理の基本になります。

 ただし、食品として流通している野菜は収穫され、選別され、市場で競りをされ、そしてお店に届きます。その間に、人の手や環境からの汚染を受けますので、それらの細菌も野菜には付着していることになります。そう言う意味では、多少の薬剤もやぬなしかな、とも思いますが、それでも塩素を使うのであれば食酢の方がまだ安全。根菜類は秒単位で湯通しするブランチングも有効です。ブランチングは湯通しの後の冷水での急冷がポイントで、そこが茹で野菜にするか、かろうじて生野菜と認識できるかの瀬戸際になります。でも、皮を剥けば中は完全に生ですがね(#^.^#)

と言うように、野菜の成り立ちに応じて処理していけば、怪しい薬品を使わずとも、リスクは限りなく0に近づけられます。何をするにも、相手を知ることが大事です。

 では、次回はお肉編を予定です。

 

この記事を書いた人:小林樹夫

所属:代表取締役 担当:皆の社長(笑)

小樽の漁師町の生まれ
人生の前半を小樽、函館で過ごし、酸いも甘いも色々経験(笑)後半の人生は、死ぬまで札幌で修行の予定。
さていよいよ50代最後の1年、来年は折り返しの年です。頑固でありながらも、いつまでも柔軟な感性を失わない、しなやかな社長=親父=おやじを目指してます❗