
昨日のニュースで、旭川市の宅配弁当で、144人が発症する集団食中毒が発生したとありました。久しぶりに大規模な集団食中毒で、原因は腸炎ビブリオでした。ニュースからの情報では魚の揚げ物やザンギ弁当などを食べた692人のうち144人が発症したとのことです。
さてこの腸炎ビブリオ、海に潜む細菌で、そのため魚介類の生食での事例が多い食中毒菌ですが、食品衛生の教科書では良く、魚をさばいたまな板や包丁の使いまわしでの汚染で発症するケースが取り上げられます。また、この腸炎ビブリオ、海の中にいるため塩分を好み、2~5%が大好物ですが、8%の塩分でも発育可能で、逆に真水に弱いという弱点もあります。また、海水温が20℃以上にならないと増殖できないため、今までの北海道の気候ではほぼほぼ心配のない細菌でしたが、ここ最近の気温の上昇に伴う海水温の上昇で、北海道産の魚介類でも油断ができない状況になってきているといえます。これらの特徴を踏まえると、特に浅瀬の海岸でとれる貝類の生食は要注意です。
ということで、この腸炎ビブリオ、どうすれば事故を防げるかというと
①熱に弱いので十分に加熱する
②真水に弱いので、水道水で魚の皮やえら、貝類のむき身を良く洗う
③低温に弱いので、魚介類は4℃以下で保管する(氷水を入れた発泡スチロールはおすすめ)
等々
以上を踏まえ今回の事故を検証すると、お刺身でも入れない限りお弁当屋で起こる事故ではないのですが、ニュース記事を見て気になったのが「魚の唐揚げ」。生の魚をさばいて作ったのであれば、調理場の中に腸炎ビブリオがいた可能性があり、それが色々な食材を汚染したのであれば、お弁当でも起こりえる食中毒です。
意外と弱点の多い食中毒菌ですが、細菌に対する知識がなければ意識もできないということです。