私がこの業界に入り、自分で会社を立ち上げた背景には、「食」の製造・調理の現場で多用される添加物や殺菌剤といった化学薬品への危機感というものがあります。ちょうど長男が生まれた頃で、この子やこの子達の世代以降にできるだけ安全な「食」を残さなければと思ったのがきっかけでした。衛生管理の基本はそのためであり、いたずらに危機感を煽り高い洗剤や殺菌剤を売り込み、「食」を薬品漬けにすることではないと強く思ったことを思い出します。食べ物も元をただせば、牛やマグロや大根といった生き物であったわけで、加工された後でさえ、その命が元になっていることを踏まえれば、そこに化学薬品はいらないはずです。食べ物が商品になり、売ることを考え始めたところから、賞味期限、消費期限といった概念が出てきています。「まだ食べれるしょ」といった五感を働かせた根拠のない、でも自己責任の上に成り立っていた可食の判断が、数字という明確だけど他人任せのものに変わっていきました。本来命懸けで餌を求めていた私らの祖先の昔から考えると、生きる力さえ奪われているのでは?と思う世の中です。(そのための検査をしたり相談に乗るのが弊社の仕事なのですが・・・ヽ(´▽`)/)
さて、今年に入って興味深い出会いがありました。「整腸第一主義」というコンセプトのもと、人の健康を作る「食」について真摯に向き合っている人たちとの出会いです。今、その方達と共に、商品開発を行い、工場を稼働させ、新しい食品を世の中に出すべく活動を始めました。勿論、エムズテックの仕事は今までのままで、新たな取り組みです。20代の頃、函館で行っていた商品開発の仕事に戻ってきた感覚です。あれから30年、人間は古くなりましたが(笑)、新しい人たちとの出会いが、若かったあの頃の気持ちを思い出させてくれています。
新型コロナウイルスでこの先どうなる?といった閉塞感の中、新しく、夢のある人達と出来事に出会えたことは、我が事ながら非常にポジティブな出来事です。でも、見方を変えるとこの出会いは自分自身の原点回帰。つい商売を優先させて忘れてしまいがちな大事なことを思い出させてくれた出会いです。
だからこの先もずーと、弊社の衛生管理は、美味しく、体のためになる食を作っていくためのものであることを忘れずに、その理念に共感してくれる社員と共に、お客様のそばに寄り添っていこうと思います。